螺旋模様椀の亀裂(失敗)

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2010年1月30日に、紐胎盃の臭気抜きをするついでに、中塗りの紐胎盃・杯にも熱処理と欠陥検査を兼ねて、熱湯を入れた。
外側だけ上塗りまで来ていた螺旋模様椀2個にも熱湯を一杯まで入れ、欠陥検査をした。
現在の木製の漆椀の仕事の仕方は、端の外回りをルーターで浅く彫り、そこに細いラミー紐を3,4周巻くのと、高台周りに太いラミー紐を巻くのが下準備。
麻布を貼るのは裏底だけで、ラミー紐を内側に螺旋状に貼る。
木地に摺り漆をした後、紐回りを埋め、後は塗り重ねだけで仕上げるようにしている。

今回亀裂が発生したのは、摺り漆だけの木地の状態のとき、床に落下させ、亀裂が入っていた。
亀裂のところを彫り、刻苧をして亀裂を埋め、木地と同じ面にしてから、また摺り漆をしてあった。
そういう状態で何年間か放置しておいたものに、補強用に上記のようにラミー紐を巻いていた。
注文が入ったので、予備の1個と合わせ2個仕上げに向けて作業を続けていた。
欠陥検査のため、熱湯を注ぎ、暫くすると、少し気泡が見え始めた。

熱湯による臭気抜き・熱処理・欠陥検査。
木の上に直接置くと、裏に木の汚れのようなものが写る(移る?)ので、皿の上で行う。
左から2番目の椀で気泡が出始める。

湯を捨ててみると、ラミー紐による螺旋模様の間に亀裂が発生していた。

亀裂した付近を彫り、空研ぎ。
右に小さく彫ったのは、刻苧跡が薄く映って見えたので、念のため。

糊漆分の強い下地でラミー紐を貼る。
亀裂が走ったところは、亀裂に垂直方向に。

外側も刻苧跡が薄く映って見えたので、彫り、ところどころラミー紐を垂直方向に貼る。
ピンセットは使ったが、刷毛は使っていない。

1月31日(日)前日の下地が乾き、紐が見えるようになっていた。

空研ぎと、彫ったところからはみ出ているラミー紐を丸刀で切り取った状態。
内側は木の粉を混ぜた糊漆(こくそ)で紐目埋め。
外側は、ラミー紐を貼らなかった部分を刻苧(木の粉を混ぜた糊漆に麻綿を混ぜたもの)で埋める。

後は極薄の和紙を貼り、塗り重ねで仕上げるつもりでいるが、まだ先のことなのでどうなるか?

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